研究概要

物体や現象がその鏡像と重ね合わせることができない性質(キラリティー)は、
自然界において普遍的に顕在化する。らせんはキラリティーを持つ構造(キラル構造)の一つであり、
ナノスケールの分子集合体からミリスケールの生体組織までらせん構造を持つ物質は数多く存在する。
物質を配列してらせんなどの構造を創り、構造に起因する機能を顕在化させる科学(物質のキラル秩序化の科学)は、
既存の学術の枠を超えた物質科学における普遍的な研究の一つである。
物質を自在に操りキラル秩序化する。それは物質科学研究者の究極の夢である。
分子から生体組織までの多様な空間スケールの物質を
非接触で操作できる現実的な手法は光だけである。
本研究領域では、電磁場構造に由来する光の螺旋性の科学を探求し、
分子から生体組織まで多様な物質を光でキラル秩序化する。
さらに構造に起因する機能を顕在化させてキラル秩序の化学・らせんの工学・渦の物理学を展開する。